改訂完全版 異邦の騎士(島田荘司、講談社文庫)

名探偵・御手洗潔の最初の事件を描いたミステリです。

公園のベンチで目覚めた男には過去の記憶がなかった。偶然出会った女性・良子と暮らし始め、平和な日々が続く。ある日部屋で発見した自分の免許証に記載された住所を訪ね、日記を発見し自分の過去を知る。過去を知った男は、行動を起こす。

失った記憶の謎とそれが明らかになる後半の怒濤の展開が凄いです。中盤以降は休止することもなく一気に読んでしまいました。
ミステリとしての謎も魅力的なのですが、この作品のもう一つの魅力はラブストーリーだと思います。記憶をなくした男と一緒に暮らしはじめた女・良子の二人の愛の物語です。最後の良子からの手紙を読んでいて思わず涙ぐんでしまいました。ミステリ読んで泣かされるのはなかなかないです。奇想天外なストーリーが多い御手洗シリーズの中ではオーソドックスなミステリでしたが、その分物語としての良さが出ている作品だと思いました。

異邦の騎士 改訂完全版

異邦の騎士 改訂完全版