読了本

ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち〜(三上延、メディアワークス文庫)

古書店の店主が『本』にまつわる謎を解く、いわゆる安楽椅子探偵ものの連作短編集です。 本に対する深い知識と謎に対する洞察力を持つ女店主・栞子さんと幼い頃のトラウマが元で本が読めない体質のアルバイト五浦大輔という二人が主人公です。本が読めない人…

ビッグコミック創刊物語(滝田誠一郎、祥伝社黄金文庫)

1968年に創刊され、40年を超える歴史を持つビッグコミック。その創刊前後について書かれたノンフィクションです。 子供向け漫画雑誌か大人向けのエロ・グロナンセンス漫画誌しか無かった時代。大人が漫画を読むことに眉をひそめる人も多かった頃に、新しい青…

煙突の上にハイヒール(小川一水、光文社文庫)

科学技術と人との関わりをモチーフにした短編集です。舞台は近未来もしくは2000年代前半と現代とほとんど変わらないので、それほど突飛な科学技術は出てきません。一人乗りのヘリコプター、車載カメラ、介護用ロボットなどすでに存在している、または現代の…

誘拐(五十嵐貴久、双葉文庫)

歴史的な日韓友好条約の締結のため韓国大統領が来日に備え警察による大規模な警備が行われている最中、現総理大臣の孫が誘拐される。犯人は電話による不特定多数の市民による通報依頼や郵便物を使用して、直接の接触を持たずに「日韓友好条約締結の中止と30…

シングルベル(山本幸久、朝日文庫)

結婚しない息子・陽一のために、親同士のお見合いセミナーに参加した父親・恵。そこで出会った娘を持つ3人の親と協力して出会いを演出するのだが… 山本幸久さんは、最近知ってお気に入りの作家です。作品はお仕事小説が多いのですが、どれも普通の人が頑張…

裁判長!死刑に決めてもいいすか(北尾トロ、朝日文庫)

『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』著者の北尾トロさんが、裁判員制度導入直前に実際に裁判員になった「つもり」で裁判を傍聴して、自分なりの判決を出すというルポです。 主として傍聴する裁判は「韓国エステ嬢殺人事件」と「杉並親子殺人事件」。証拠が…

虹の家のアリス(加納朋子、文春文庫)

サラリーマンから探偵へ転職した仁木順平と探偵助手・安梨紗が遭遇する事件簿シリーズの第二弾(前作は「螺旋階段のアリス」)。 探偵事務所に持ち込まれるのは育児サークルの嫌がらせや花泥棒などのご近所の謎から、赤ちゃん消失事件やネットの掲示板での猫…

ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘(水木悦子・赤塚りえ子・手塚るみ子、文春文庫)

水木しげる、赤塚不二夫、手塚治虫の娘3人による対談集です。各先生の父親としての顔や女性観などは、娘だから話せると思われる内容で新鮮でした。娘って冷静に父親を観察しているんですね。その視点は息子にはないかもと思います。息子にとっては父親は超…

とよ田みのる短編集 CATCH&THROW(とよ田みのる、小学館)を読みました

「ラブロマ」「友達100人できるかな」のとよ田みのるさんの短編集です。読み切り短編が5編入っています。 どの作品も他人のエリアに踏み込んで関係性を作る(コミュニケーション)というテーマが描かれているなあと思いました。その他人というのが「異世…

狐火の家(貴志祐介、角川文庫)

『硝子のハンマー』に続く「防犯探偵シリーズ」の第2弾です。前作は長編でしたがこちらは短編集で、「狐火の家」「黒い牙」「盤端の迷宮」「犬のみぞ知る」の4作品が収録されています。すべて『密室もの』です。 どの作品のトリックも意外性があって面白い…

火事場の仕事力(ゆでたまご・嶋田隆司)は逆転の秘訣満載

私が小学生の頃に大人気だった「キン肉マン」。その原作者のゆでたまご・嶋田隆司が自分の仕事(漫画)に対する考え方を書いた新書です。 アイディアの出し方、人との信頼関係から生まれる友情の大切さ、逆境への対処法、自信を持って仕事をするための仕事術…

狼は瞑らない(樋口明雄、ハルキ文庫)

山岳警備隊の隊員が主人公の山岳冒険小説です。 元SPの佐伯鷹志は、長野県山岳警備隊の隊員として遭難者の救助任務に当たっていた。SP時代に知り得た警察と正解の闇を知った佐伯を狙う警察上層部の『掃除屋』が送り込まれる。大型の台風が猛威をふるう山の中…

ラジオにもほどがある(藤井青銅、小学館文庫)

著者はラジオの放送作家です。伊集院光をラジオに出演させて「芳賀ゆい」を仕掛けたり、いっこく堂のプロデューサーをやったりしたときの実録エピソードが語られている本です。 といっても「俺が育てた」という内容ではないです。様々な企画を面白がって(儲…

Number 798 Jリーグ20年記念 歴史を動かした20人

1993年に始まったJリーグも今年で20年。これまでのJリーグにえいきょうを与えた20人の特集です。外国人ではジーコ、ベンゲル、ストイコビッチ、アルシンド、ディアス、カレカ、オシムなど、日本人では三浦知良、中田英寿、中村俊輔、小野伸二、遠藤保仁など…

奇面館の殺人(綾辻行人、講談社ノベルズ)

「館」シリーズの最新作です。前作の暗黒館があまり好みではなかったのですが、作者あとがきを読んで迷路館のような軽やかなパズラーを目指したという文章を読んで期待をこめて読み始めました。 奇面館に集められた6人の男達。仮面を被って顔を隠して主人と…

いますぐ書け、の文章法(堀井憲一郎、ちくま新書)

いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)作者: 堀井憲一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2011/09/05メディア: 新書購入: 1人 クリック: 33回この商品を含むブログ (36件) を見る文章の書き方についての新書です。ただし、テクニック的なことではなくて実践…

とめはねっ!1〜4

とめはねっ! 鈴里高校書道部 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)作者: 河合克敏出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/05/02メディア: コミック購入: 9人 クリック: 125回この商品を含むブログ (357件) を見るとめはねっ! 鈴里高校書道部 2 (2) (ヤングサンデ…

下流喰い―消費者金融の実態

下流喰い―消費者金融の実態 (ちくま新書)作者: 須田慎一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/09/01メディア: 新書購入: 7人 クリック: 263回この商品を含むブログ (107件) を見る先日買った本ですが、非常に面白くて一気読み。 サラ金がどのように多重…

もやしもん(石川雅之)

もやしもん、一気買いして読みました。菌が見える特殊能力を持った男の子が、農大の醸造ゼミで色々する話。 設定的に「動物のお医者さん」と似ているかと思ってましたが、結構違う感じ。農大ってこんな授業なのか?と驚く。脚色もあると思いますが。私受験で…

ダ・ヴィンチ・コード(ダン・ブラウン、角川文庫)

ダ・ヴィンチの暗号ってなんなの?と思って読み始めたのですが、実はダ・ヴィンチの暗号というよりは「祖父の暗号」というお話でした。てっきりダ・ヴィンチがモナリザとかに込めた謎を解き明かす話だと思っていたので、ちょっと肩透かしな感じも。(ダ・ヴ…

夏季限定トロピカルパフェ事件(米澤穂信、創元推理文庫)

「小市民シリーズ」2作目です。一作目(春季限定いちごタルト事件)が面白かったので続きが読めて嬉しい。 「小市民」を目指す小鳩くん&小佐内さん。中学時代の反省から、目立たない小市民の星をめざす、恋愛関係でもなく依存関係でもない互恵関係にある二…

第三の時効(横山秀夫、集英社文庫)

第三の時効 (集英社文庫)作者: 横山秀夫出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/03/17メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 108回この商品を含むブログ (173件) を見る殺人事件を扱った推理小説なのですが、犯人よりもそれを捕まえる側である刑事がメインで描か…

博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話(サイモンウィンチェスター、ハヤカワ文庫)

博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)作者: サイモンウィンチェスター,Simon Winchester,鈴木主税出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2006/03/01メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 76回この商品を含むブログ (73件) を見る英語辞書だけ…

眠りの森(東野圭吾、講談社文庫)

眠りの森 (講談社文庫)作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 1992/04/03メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 69回この商品を含むブログ (133件) を見る バレエ団で起きた殺人事件。殺された男とバレエ団の接点は全くないかに思われた。果たして事件…

決断力(羽生善治、角川Oneテーマ21新書)

決断力 (角川oneテーマ21)作者: 羽生善治出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/07/01メディア: 新書購入: 44人 クリック: 297回この商品を含むブログ (562件) を見る平積みになってたので気になって購入。 羽生さんの将棋に対する考え方を述べている本。こ…

ジョッキー(松樹剛史、集英社文庫)

ジョッキー (集英社文庫)作者: 松樹剛史出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/01/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 99回この商品を含むブログ (57件) を見る 華々しい活躍はしていない青年ジョッキーの話。乗る馬にも苦労している騎手が、トラブルやちょ…

終戦のローレライ(福井晴敏)

終戦のローレライ 上福井 晴敏講談社 (2002.12)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る 特殊な能力を持つ少女とそれを守る青年。そして、二人を支える大人の男たちの物語です。ハードカバー(上下巻)で読んだのですが、上巻は…

方舟は冬の国へ(西澤保彦)

方舟は冬の国へ西沢 保彦光文社 (2004.8)オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る 休職中の十(つなし)和人は職安である依頼を持ちかけられる。それは一ヶ月の間見知らぬ女性と少女の3人で、別人の家族を演じることだった。報酬は法外。監視カメラ・マイク…

顏(横山秀夫)

顔横山 秀夫 / 横山 秀夫著徳間書店 (2005.4)オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る 似顔絵婦警として活躍していた平野瑞穂。ある事件から違う部署に配属されることになるが、自分の直感を信じて事件に立ち向かっていく。 連作短編集なんですが、一人の婦…

扉は閉ざされたまま(石持浅海)

扉は閉ざされたまま石持 浅海祥伝社 (2005.5)オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る 大学時代の同窓会会場のペンションで伏見亮輔は後輩の新山を殺害。現場を密室にする。事故か自殺かなど意見が紛糾する中、碓氷優佳だけは疑問を抱いて…。 倒叙ミステリで…