マッチメイク(不知火京介、講談社文庫)を読みました

新人レスラーが探偵役のミステリです。第49回江戸川乱歩賞受賞作。
プロレス団体の総帥ダリウス佐々木が試合中に倒れ直後に急死。額の傷からは蛇毒が検出される。試合中にいったい何が起こったのか?という事件がメインです。新人レスラーが探偵役となり真犯人を追います。

乱歩賞受賞作に多いパターンである職業の内情を描くというものがあります。この作品も主人公がプロレスラーなのでプロレス団体の内情が描かれます。題名にもなっている「マッチメイク」や「ジョブ」など舞台演芸としてのプロレスについての話は面白いです。プロレスファンなら常識なのかもしれませんが、プロレス全く知らない私にとっては初めて知る事ばかりだったので興味深く読みました。
出てくる人達の中で、万年前座レスラーの丹下さんが素敵なキャラクターで、主人公が弟子になってトレーニングするシーケンスがこの本の中で一番面白かったかも。もっと主人公と丹下さんのやりとりが読みたかったなぁ…。
でも、ミステリとしての面白さはちょっと弱い作品だったなと思いました。謎解きという意味での壮快感がないんですよね。これなら殺人なしの新人レスラー成長小説だったほうが面白かったんじゃないかなぁ。まあ、それだと乱歩賞は受賞できないわけですけど…。
面白くないわけではないのですが内容が散漫な印象で惜しいなぁといった感じでした。

マッチメイク (講談社文庫)

マッチメイク (講談社文庫)