死刑(森達也、角川文庫)を読みました

死刑についてのルポルタージュです。ドキュメンタリー、ノンフィクション作家の森さんが死刑について弁護人、刑場を視察した議員、執行に立ち会った検事、元死刑囚、刑務官、犯罪被害者家族、確定死刑囚など多くの当事者に話を聞きに行きます。様々な人から話を聞きながら、森さんは「賛成か反対か」で迷います。そして最終的には理屈ではなく情緒で答えを出したいという結論に達します。
読者の私も、読み進めていくうちに「賛成なのか、反対なのか」を否応無しに考えさせられました。これまで死刑に対して「反対・賛成」ということを全く考えずにきたので、この本を読んだだけでは結論を出すことはできませんでした。でもこの本を読むことによって少しではありますが、死刑について知ることができたのは良かったと思います。
死刑という刑罰の存在は知っていてもその詳細は全く公開されておらず、国民の目から隠されています。知らないと「賛成・反対」の意見すら持つことができないです。この本を読んでから、ニュース死刑判決が流れると以前より考えるようになりました。そういうきっかけを作ってくれた本でした。

死刑 (角川文庫)

死刑 (角川文庫)