星をつくった男 阿久悠と、その時代(重松清、講談社文庫)

作詞家・阿久悠の生涯の軌跡を追ったノンフィクションです。沢山の関係者に取材していて、非常に読み応えのある作品でした。ピンク・レディーをはじめ数々のヒット作をつくり出した時代の熱さのようなものを読んでいて感じました。

阿久悠がヒット作を連発していた時代は70〜80年代なので、私にとって小学生低学年時代の歌です。ピンク・レディもうっすらと記憶にある程度で、あのブームの熱気は知りません。(保育園のお遊戯がUFOだったのが印象に残っているくらい。今考えるとあれは保母さんの趣味だったのか?)そんな私でさえ「津軽海峡冬景色」や「勝手にしやがれ」などはいまでも口ずさめるほど身体に入っています。そのくらい阿久悠の「言葉」は人々を捕まえて話さない力があるように思えます。

作詞家から小説家までと死の直前まで「本気」で挑み続けてた生涯の熱さ。そこまで「本気」であるからこそ、時代を映しまた時代を超えて残り続ける仕事ができたのでしょう。作詞家という仕事についての興味からこの本を手に取りましたが、読み終わって「阿久悠」という人への興味に変わっていました。