TOKYO BLACKOUT(福田和代、創元推理文庫)

東京へ電力を送っている送電線が次々に破壊されるテロが発生。電力が不足し未曾有の大停電が東京を襲うというクライシスノベルです。

東京大停電という事件は以前だったら全くのフィクションだと思ってしまうところですが、東日本大震災が起こった後の現在としてはまさにあり得る現実でありリアルに感じられました。

犯罪小説なのですが、テロ実行犯を見つけ出すと言う部分は半分くらいで、それ以外の部分は電力会社の人や病院のスタッフなど災害を前にして頑張る市井の人たちの話が描かれます。普通に日常が行えるように頑張る人たちの姿に読んでいて胸が熱くなりました。
テロ実行犯のテロを起こした理由が最後に明かされるのですが、切なすぎて思わずもらい泣きです。そんなことのためにというすごく個人的な理由なのですが、物語を読んでくるとその瞬間の大切さがわかりなんとも切ないのです。読後に温かい気持ちになりました。

TOKYO BLACKOUT (創元推理文庫)

TOKYO BLACKOUT (創元推理文庫)