ルポ 電王戦 人間vs.コンピューターの真実(松本博文、NHK出版新書)を読みました

先日第三回が行われた電王戦。将棋のプロ棋士がコンピューターに2年連続で負け越すという話題がニュースにもなりました。その電王戦の裏のドラマを描いたルポルタージュです。

コンピューターが将棋のプロ棋士に勝つという、10年前までは夢物語でした。しかし、今トッププロに勝利するようになりました。コンピュータ将棋開発の黎明期から、先日行われた第三回電王戦までが開発者と棋士たちの人物を中心に描かれます。2005年に登場したソフトBonanzaの衝撃とその後のコンピュータ将棋ソフトが強くなっていく過程が面白いです。新しいメソッドが共有されどんどん改良されていくのが、ソフトウエア開発の醍醐味だなと思いました。
そのような過程を経て人間が作った「知性」と努力と才能で磨き上げた棋士の「知性」がぶつかりあう電脳戦の対戦レポは、迫力があり将棋に詳しくない私も夢中になって読めました。人造知性と人間がぶつかり合い、将棋の世界に新しい可能性を示すような戦いだと感じました。

難しい棋譜が出てくることもなく、人物中心に描かれてるので将棋に詳しくなくても問題ないです。いやー、面白かったです。読了後、次の電王戦の行方が楽しみでしょうがありません。