生存者ゼロ(安生正、宝島社文庫)を読みました

北海道根室沖の石油掘削基地TR102で職員全員が無残な死体として発見される事件が発生。新種の感染症が疑われ、自衛官の廻田三佐と細菌学者の富樫が原因解明を政府から依頼される。はたしてパンデミックは防げるのか?

サスペンス小説です。前半は新感染症の正体を探っていく医学ミステリーと思いきや、中盤でこの現象の意外な法則が明かされます。前半の最初で意味ありげに登場する人物がこの法則を解明するのですが、そういう伏線だったのか!と作者にまんまとしてやられた気分になりました。そこから後半は、正体との対決から決着まで怒濤の展開でした。久しぶりにサスペンス小説を堪能しました。読んでいる最中に昔読んだ西村寿行の「滅びの笛」が頭に浮かびました(これも傑作サスペンスでした!)

ただ、新人賞応募作ということで若干読みづらい所もあったのも正直なところ。特に「神との対話」的な要素は違和感があって、読むのが辛かったです。ラストにつなげるためには必要なんでしょうけど…。

生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)