三題噺 示現流幽霊(愛川晶、東京創元社文庫)を読みました

落語家が主人公のミステリシリーズの新刊です。
病に倒れて高座から遠ざかっていた山桜亭馬春が前作の最後で開催か決まった復帰独演会まで後一ヶ月。ネタ出ししたのは「海の幸」という誰も知らない噺だった。

馬春師匠の復帰公演に向けて話が進んでいく短編が3本収録されています。馬春師匠は本当に高座に上がるのか?という大きな謎に引っ張られて一気読みでした。最後まではらはらさせられた結末は、まさにしゃれが効いていて見事でした。最後の掌編「」がこの本を閉めているなぁと読後に感じました。
今回も謎が最後に舞台で語られる噺で解決するという趣向が決まっていてどの短編もグイグイ読まされます。表題作の『示現流幽霊』の作中噺が柳家小さん実演音源で東京創元社のサイトから聴けるのも面白い仕掛けだと思いました。

馬春さんが復帰して一段落といった感じですが、まだまだこのシリーズの続きが読みたいです。続刊早く出て欲しいなぁ。