残り全部バケーション(伊坂幸太郎、集英社)を読みました

伊坂幸太郎の短編集です。裏稼業を生業にしている「溝口」と「岡田」の話が5編収録されています。
伊坂さんの悪党が主人公のシリーズはどれも面白いのですが、この作品もとても面白かったです。小説と言ってもほとんどが会話なのですが、「溝口」と他の人の会話が面白い。悪党なんですが、魅力的なんだよなあ。
全部で5章あるのですが、それぞれが微妙につながっていて、最後の5章目でそれまでの話が収束していくのが読んでいて快感です。この伏線回収の上手さ、まさに伊坂幸太郎という感じ。最後まで読んだら、最初からまた読んで確かめたくなる2度美味しい作品です。
私が一番楽しかったのが2章の「タキオン作戦」。「岡田」が人をだます話なのですが、そのだまし方が愉快でした。ある映画が元ネタなのですが、その使い方が「こういうやり方されたら、だまされるかも」って思いましたね。
だましを仕込んでいる時の岡田のセリフがいいです。

人を騙すには、真実とか事実じゃなくて、真実っぽさなんですよ

真実の中にちょっとした嘘を入れた方が人は騙されやすいのです。

残り全部バケーション

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