まほろ駅前番外地(三浦しをん、文春文庫)を読みました

先日読んだ「まほろ駅前多田便利軒」(感想)の続編です。前作の主人公である多田・行天コンビももちろん出てきますが、前作で脇役だった人達が語り手となっている短編もあります。いわゆる番外編ですね。なので「多田便利軒」を先に読んだ方が楽しめると思います。
ロマンスあり冒険ありの内容で前作より気楽に読める感じでした。中でも面白かったのが「星良一の優雅な日常」。前作でも登場した「まほろ市裏社会の新勢力」星の日常が描かれるのですが、生活の徹底した節制っぷりと稼業とのギャップが微笑ましくて笑っちゃいます。玄米食べて日記つけてる裏社会の人間って…(笑)。
こういうスピンアウト作品というのは難しいと思うんですよね。完成された世界(前作)がすでにあるわけですし、そこに付け足すということは下手をすれば蛇足になってしまう。でも上手くいけばさらに世界観を広げることになる。私は今作は脇役だった人達のサイドストーリーを描くことによって「まほろ市」という世界が広がった印象を受けました。このシリーズ独特の空気感も心地よいですし、まだまだこの街の物語を読み続けたいと思いました。週刊文春で続編も連載していたらしいので、そのうち単行本にまとまるのが楽しみです。
今月11日からドラマもやるようなので、見てみようと思います。

まほろ駅前番外地 (文春文庫)

まほろ駅前番外地 (文春文庫)