僕たちのゲーム史(さやわか、星海社新書)

ゲームの歴史についての本です。「僕たちの〜」という題名通り30年くらいのゲームの歴史について、1974年生まれの筆者が書いています。かといってノスタルジーではなく、当時の文献をベースに制作者の考えを引用しながらゲームの試行錯誤の歴史を解説していくのが新しく面白かったです。

ゲームの進化についての試行錯誤を次の2つの視点から解説しています。

  • 「ボタンを押すと反応する」
  • 「物語をどう扱うか」

ボタンを押すことにより影響を及ぼして変化するというのがゲームにとって変わらない部分であるという主張はシンプルですが、本質をついていると思います。
日本と海外のゲームに対する意識の違いがゲーム初期の頃からずっとあって、それぞれに発展してきたというのが興味深いです。海外は自分の視点で世界を探検することを突き詰め、日本は物語を語ることを突き詰めていったということが説明されます。ゲーム史なのでその理由というのは解説されないのですが、なぜ日本だけ特殊な進化を遂げているのかの理由が気になりました。この違いは、海外のハッカー文化でコンピュータによって自分の世界を拡張しようというニューエイジ思想と重なる部分がありそうです。ハビタットとかセカンドライフというゲームが生まれるのも方向性の違いからなのかも。
そして現代のゲームは「コミュニケーション」が重要な要素となっているということ。ポケモンやオンラインゲーム、ソーシャルゲームにあるのはゲームを通してのコミュニケーションが「ゲームより楽しいもう一つのゲーム」として楽しまれているというのです。
現在はスマートフォンや携帯、携帯ゲームで少しずつゲームを楽しむという人が増えているそうです。実際通勤電車でも携帯やスマートフォンでゲームをしているひとを良く目にします。ゲームをしようと構えてゲームをするより生活の中にゲームが入り込んでいるというのが今のゲームなのでしょうね。

僕たちのゲーム史 (星海社新書)

僕たちのゲーム史 (星海社新書)