船を編む(三浦しをん、光文社)を読みました

映画にもなった「辞書を作る人たち」のお話です。
辞書の制作という知らなかった世界の話は非常に面白く読むことができました。辞書編集部に新しく配属された馬締(まじめ)やチャラい感じだけれど暑いモノを持っている西岡、言葉の探求者である監修者の松木先生など個性的な人物がそれぞれ語る形式ということもあり読みやすく、一気読みでした。語り手が入れ替わるのは、雑誌連載されていたことから来る趣向なのかも。
出てくる人たちが「辞書を作る」という目的に向かって、長年情熱をもって仕事を続ける姿には心打たれるものがありました。ラストの出版記念パーティーの場面ではこみ上げてくるものがありました。

この本は装丁も素敵です。地味な表紙なのですが、この装丁は作中で語られる『大渡海』とそっくりなのです。作中でその場面を読んだときには、思わず装丁を確認してしまいました。カバーを外すと一転、作中の場面を描いたイラストがちりばめられています。地味な表紙だけにそのギャップが面白いです。文庫版(まだ発売されていませんが…)だとこのような趣向は難しいでしょうから、この装丁で読めて良かったなと思いました。

舟を編む

舟を編む