読了本

船を編む(三浦しをん、光文社)を読みました

映画にもなった「辞書を作る人たち」のお話です。 辞書の制作という知らなかった世界の話は非常に面白く読むことができました。辞書編集部に新しく配属された馬締(まじめ)やチャラい感じだけれど暑いモノを持っている西岡、言葉の探求者である監修者の松木…

まっすぐ進め(石持浅海、河出文庫)を読みました

書店で一目惚れした美しい女性。彼女は左手首にいつもふたつの時計をはめている。その謎とは…。 「日常の謎もの」の恋愛ミステリです。 石持浅海は提示された事実から論理的な推理を展開する作風の作家ですが、この短編集も同様の趣向です。今作品は、いつも…

ルポ 電王戦 人間vs.コンピューターの真実(松本博文、NHK出版新書)を読みました

先日第三回が行われた電王戦。将棋のプロ棋士がコンピューターに2年連続で負け越すという話題がニュースにもなりました。その電王戦の裏のドラマを描いたルポルタージュです。コンピューターが将棋のプロ棋士に勝つという、10年前までは夢物語でした。しかし…

奇術探偵 曾我佳城全集<秘の巻>(泡坂妻夫、講談社文庫)を読みました

暑いと気軽に読める短編集を読みたくなります。長編だと集中力続かないのですね(笑) 引退した美貌の女性奇術師の曾我佳城が探偵役の短編集です。奇術的なトリックの作品が多く短編推理小説としての切れ味の鋭い作品ばかりで楽しめました。自身もマジシャン…

生存者ゼロ(安生正、宝島社文庫)を読みました

北海道根室沖の石油掘削基地TR102で職員全員が無残な死体として発見される事件が発生。新種の感染症が疑われ、自衛官の廻田三佐と細菌学者の富樫が原因解明を政府から依頼される。はたしてパンデミックは防げるのか? サスペンス小説です。前半は新感染症の…

三題噺 示現流幽霊(愛川晶、東京創元社文庫)を読みました

落語家が主人公のミステリシリーズの新刊です。 病に倒れて高座から遠ざかっていた山桜亭馬春が前作の最後で開催か決まった復帰独演会まで後一ヶ月。ネタ出ししたのは「海の幸」という誰も知らない噺だった。馬春師匠の復帰公演に向けて話が進んでいく短編が…

ヤコとポコ 1(水沢悦子、少年チャンピオンコミックスエクストラもっと!)を読みました

少女漫画家とネコ型ロボットアシスタントの日常を描いたお話です。作者は「花のズボラ飯」の人。絵が可愛いですねー。 分野はSFなんだとおもうんですが、ロボットとかいるのにパソコンの検索が人力だったりして不思議な世界感があって面白いです。 作中で繰…

世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つ ビジネス書(林雄司、扶桑社)

デイリーポータルZのウェブマスター・林雄司さんの書いたビジネスに関する「いかに努力しないで済ますか」についてのメソッドが書かれた本です。プレゼンの方法とか原稿の督促の仕方とか、林さんならではの仕事に対する考え方がかかれていて面白いです。その…

消えた少女 吉祥寺探偵物語(五十嵐貴久、双葉文庫)を読みました

コンビニでアルバイトしている父子家庭の父親が主人公の探偵物です。最初はペットを探す依頼を受けただけだったのが、飲み友達のオカマの京子ちゃんの紹介からなりゆきで一年前に誘拐された少女を探すことに…というお話。 この手の職業探偵ではない探偵物が…

完本 1976年のアントニオ猪木(柳沢健、文春文庫)を読みました

1976年にアントニオ猪木が行った異常な4試合についてのノンフィクションです。異常な4試合とは次の通り。 柔道金メダリスト、ウィリエム・ルスカ ボクシング世界ヘビー級チャンピオン、モハメッド・アリ 韓国人プロレスラー、パク・ソンナン パキスタンのプ…

有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか 絶望を笑いに変える芸人たちの生き方(テレビのスキマ、コア新書)

芸人本人や周囲の人たちが語ったテレビや雑誌でのインタビューの発言から、その芸人の人となりや謎を解明していくという内容の本です。表題の有吉弘行、オードリー、オリエンタルラジオ、ダウンタウン、ナインティナイン・矢部浩之、爆笑問題・太田光、ダイ…

真鍮のむし(田中啓文、創元推理文庫)を読みました

ジャズバンドのテナーサックス奏者の永見緋太郎が探偵役のミステリ短編集。音楽馬鹿で世の中に疎い永見が、日常で起きた不思議な事件の謎を解き明かすという「日常の謎」ミステリです。 シリーズ3作目の今回は、日本を飛び出してニューヨーク、シカゴ、ニュ…

PARマンの情熱的な日々 なんでもかんでも面白がろう編(藤子不二雄A、集英社)を読みました

藤子不二雄A先生のコミックエッセイの第3巻を購入。明日(3月5日)発売ですが、帰りに寄った本屋で早めに入荷していました。 我孫子先生は80歳になるというのに、本当にアクティブです。パーティにゴルフや旅行、当然のように漫画の執筆と一体いつ休んでるの…

新参者(東野圭吾、講談社文庫)を読みました

東野圭吾の加賀恭一郎シリーズ「新参者」を読みました。長編なのですが、エピソード単位では短編の形式という連作短編みたいな感じで面白かったです。 日本橋で起きた女性の殺人事件がメインの謎なのですが、日本橋に暮らす人々のトラブルや謎が解決されてい…

ビブリア古書堂の事件手帖5〜栞子さんと繋がりの時〜(三上延、メディアワークス文庫)を読みました

ビブリア古書堂の事件手帖シリーズのほぼ一年ぶりの最新刊を読了しました。 前作はシリーズ初の長編でしたが、今回はいつものように短編で、今回扱われている本は「彷書月刊(雑誌)」「ブラックジャック(手塚治虫)」「われに五月を(寺山修司)」でした。…

鮫島の貌 新宿鮫短編集(大沢在昌、カッパノベルス)を読みました

新宿鮫シリーズの短編集です。どれも短い話が全部で10編収録されています。2時間くらいでさくっと読めるボリュームです。鮫島が新宿署に異動してすぐの頃の話から最新作の後日譚までというこれまでのシリーズの隙間を埋めるような話でした。桃井課長のかっこ…

マッチメイク(不知火京介、講談社文庫)を読みました

新人レスラーが探偵役のミステリです。第49回江戸川乱歩賞受賞作。 プロレス団体の総帥ダリウス佐々木が試合中に倒れ直後に急死。額の傷からは蛇毒が検出される。試合中にいったい何が起こったのか?という事件がメインです。新人レスラーが探偵役となり真犯…

残り全部バケーション(伊坂幸太郎、集英社)を読みました

伊坂幸太郎の短編集です。裏稼業を生業にしている「溝口」と「岡田」の話が5編収録されています。 伊坂さんの悪党が主人公のシリーズはどれも面白いのですが、この作品もとても面白かったです。小説と言ってもほとんどが会話なのですが、「溝口」と他の人の…

手紙(東野圭吾、文春文庫)を読みました

弟の進学資金のために犯した強盗殺人の罪で服役中の兄・剛志がいる弟・直貴。その兄から月に一度届く手紙。「強盗殺人犯の弟」として生きねばならなくなった直貴の過酷な人生が描かれます。進学や夢の実現、就職、結婚など直貴の人生が変わろうとしている度…

シュークリーム・パニック 生チョコレート(倉知淳、講談社ノベルス)を読みました

倉知淳さんの久しぶりの著作です。「現金強奪作戦!(但し現地集合)」「強運の男」「夏の終わりと僕らの影と」の短編3編が収録。 どれも楽しかったですが「強運の男」がテレビの「世にも奇妙な物語」の話みたいで異色でした。倉知淳さん、こういう作品も描…

わたしたちが少女と呼ばれていた頃(石持浅海、祥伝社NONノベルス)を読みました

石持浅海の碓氷優佳シリーズの短編集です。タイトルの通り、碓氷優佳の女子校時代の日常の謎ものです。クラスメイトの「初恋」の謎や「学校の噂」の真相など、学校を舞台にした青春ミステリーとなっています。 碓氷優佳シリーズといえば、読後感の怖さが魅力…

裁判長!思いっきり悩んでもいいすか(北尾トロ、村木一郎監修、文春文庫)を読みました

裁判傍聴レポ・裁判長シリーズの北尾トロさんの著書です。今回は裁判傍聴ではなく、裁判員制度が題材です。 裁判員裁判の対象となる様々な裁判のケースを想定問題にして、それぞれの事件の量刑を決めていくという形です。対象となる事件は、事後強盗・連続強…

サッカーの憂鬱 裏方イレブン1〜2(能田達規、マンサンコミックス)を読みました

選手ではなく裏方の人が主人公のサッカー漫画です。審判、チームドクター、通訳、実況アナウンサーなどクラブチームを支える人々が主人公の短編です。 普段サッカーを見に行っている時って、選手と監督や審判くらいしか意識していません。この漫画は表舞台に…

木曜日のフルット(石黒正数、少年チャンピオンコミックス)

野良猫のフルットとその周りのネコや人間が出てくるギャグネコ漫画の3巻目。2ページの漫画が76篇収録されています。 どの話も緩くてだらだら読むのに最適です。こういう漫画はつい何度も読み返してしまいます。緩いこともあって内容あまり憶えていないので、…

小鳥を愛した容疑者(大倉崇裕、講談社文庫)を読みました

容疑者のペットを保護する警視庁総務部総務課”動植物管理課”(架空の部署)が舞台の連作短編集です。 銃撃を受けて負傷した捜査一課の鬼警部補・須藤友三と動物に詳しい新米警部補・薄圭子の凸凹コンビが現場に残されたペットから真犯人を推理していくのが面…

愛…しりそめし頃に…12巻(藤子不二雄A、小学館ビッグコミックススペシャル)を読みました

「愛…しりそめし頃に…」の最終巻12巻が6月28日に発売されたので購入しました。なかなか近くの本屋で売っていないので、会社帰りに秋葉原有隣堂にて購入しました。 最終話は4月に連載されているビッグコミックで読んでいるのですが、単行本というまとまった形…

Jリーグサッカー監督 プロフェッショナルの思考法(城福浩、KANZEN)を読みました

現ヴァンフォーレ甲府監督の城福浩さんがサッカー監督の仕事内容について書いた本です。 監督就任時からの選手補強、シーズン中の一週間の過ごし方、メンバー選考や試合中の采配、システム・戦術論、育成年代の指導法など監督としての仕事を現場の立場から語…

死刑(森達也、角川文庫)を読みました

死刑についてのルポルタージュです。ドキュメンタリー、ノンフィクション作家の森さんが死刑について弁護人、刑場を視察した議員、執行に立ち会った検事、元死刑囚、刑務官、犯罪被害者家族、確定死刑囚など多くの当事者に話を聞きに行きます。様々な人から…

陽炎 東京湾臨海署安積班(今野敏、ハルキ文庫)を読みました

東京湾臨海署が舞台の刑事小説です。テレビドラマ「ハンチョウ」の原作のシリーズです。 8つの短編が収録されているのですが、どれも異なった趣向で一気に読んでしまいました。事件は殺人・心中事件・麻薬取引など様々で、色々な人々が通り過ぎていく街とし…

桐島、部活やめるってよ(朝井リョウ、集英社文庫)を読みました

先日映画を見て原作が読みたくなったので読んでみました。直木賞作家朝井リョウのデビュー作。菊池宏樹(野球部だけどほぼ幽霊部員)、小泉風助(バレー部)、沢島亜矢(吹奏楽部)、前田涼也(映画部)、宮部実果(ソフトボール部)の5人の高校生の視点で高…